吉川医薬経済レポート 2007年7月号[くすり点描]

vaptan系低ナトリウム血症治療薬

事実上有効な治療薬が存在しなかった低ナトリウム血症にvaptan系vasopressin V2受容体拮抗剤が開発されている。 開発動向を表示しよう。

表 開発中のvaptan系低ナトリウム血症治療薬

開発コード・
商品名
一般名開発企業開発段階備考
(適応症)
Vaprisol
YM087
conivaptanアステラス国内:臨床準備中
米国:体液正常型:承認(06年)
米国:体液貯留型:承認(07年)
低ナトリウム血症
フィズリン
OPC-31260
mozavaptan大塚国内:承認(06年)
海外:未開発
異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍における抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善
SR-121463BsatavaptanSanofi-Aventis海外:P-3抗利尿ホルモン不適合分泌症候群および肝硬変に伴う腹水を含む低ナトリウム血症
OPC-41061tolvaptan大塚米国:P-3
国内:P-2
低ナトリウム血症
慢性心不全
多発性嚢胞腎(PKD)
VPA-985lixivaptanCardioKine
Wyeth
海外:P-2鬱血性心不全,肝硬変,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群に伴う低ナトリウム血症

メドレット社のML-リソース(小菅博之氏編集)から,低ナトリウム血症について引用する。
http://www.medmk.com/mm/add/mp_hyponatremia.htm

低ナトリウム血症は,非常に一般的な電解質異常であり,病院に入院する全患者の1%に発生し,AIDS入院患者の50%にも及ぶとの報告もある。 体内の総ナトリウム量に対して総体液量が過剰になる疾患で,全身のナトリウム量と総体液量の関係から体液正常型、体液貯留型、体液減少型の3種類に大別される。 入院患者の電解質異常の中では最も頻繁に認められるもので,米国では年間約3,000万人以上といわれる全入院患者の約4%に発症するという報告もある。

 原因としては,利尿剤,腎障害,うっ血性心不全,肝硬変,抗利尿ホルモン分泌異常症候群の一つ抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)等多岐にわたる。
 主な症状としては人格変化,傾眠,錯乱などの神経症状があり,また重度の低ナトリウム血症では生命に危険を及ぼす恐れもあるため,緊急治療を要する疾患と考えられているが,最近まで有用な治療薬は存在しなかった。(引用終り) 上述のようにvaptan系V2拮抗剤は低ナトリウム血症に対する始めての薬物である。

Vaprisolは,国内未開発であったが,第8回未承認薬使用問題検討会議(平成18年4月)における治験開始要請を受けて,現在臨床開発を準備中とのことである。 アステラスのVaprisolの06年度売上は1億円であったが,07年度は10億円を計画している。

低ナトリウム血症におけるunmet medical needsを充たすものとしてvaptan系V2拮抗剤の今後に期待したい。

                

(2007.06.11.執筆YPC)





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