吉川医薬経済レポート 2004年11月号

大型製品から見た内資と外資



1.03年売上100億円以上の製品

 2つの資料,すなわち日刊薬業(04.07.05.)とMonthlyミクス(2004増刊号)に報道された03年国内医療用医薬品売上ランキングから売上100億円以上の製品を集計した。 合計は126品目で29,124億円であった。 03年の国内医療用医薬品出荷額は約67,000億円と推定されるので(註1.),これら126品目で43.5%を占めていることになる。

 次にこれらを内資企業と外資企業に分けて集計した。 結果を表に示す(註2.)。

表 国内医療用大型製品(年商100億円以上)の内資・外資別集計
区分:>400は400億円超,>200は400億円未満200億円以上,以下同じ
区分>400>200>130>100合計>400>200>130>100合計
 品目数(実数)品目数(構成比)%
内資102031228366.771.464.662.965.9
外資5817134333.328.635.437.134.1
合計15284835126100.0100.0100.0100.0100.0
 売上(実数)億円売上(構成比)%
内資64015669472924191921865.071.963.361.666.0
外資3440221527451506990635.028.136.738.434.0
合計984178847474392529124100.0100.0100.0100.0100.0

内資は03年度決算時発表数値,外資は03年暦年の薬価ベースの発表値・報道値に0.9を掛けた数値,中外は9か月値と前年実績値・次年予想値からの推定値をそれぞれ用いた。



2.大型製品の内外比の現状と今後

 表を見ると,品目数においても,売上合計値においても外資企業が総合計の1/3を超えていることが注目される。 売上区分で見ると,400億円未満・200億円以上においてのみ内資企業が品目数・売上ともに2/3以上を確保しているが,それ以外の売上区分では全て外資企業が品目数・売上ともに1/3,乃至1/3を超えている。

 数年前には考えられなかったが,この間の外資企業の拡大によってここまで来たのである。 上記の分析は大型製品のみの集計値によっているが,全市場の分析においても近い数値がえられるものと思われる。

 今後であるが,外資企業の大型製品の売上比率はなお数年間上昇を続けると予想される。 残念なことに内資企業の大型化が予想される開発後期の品目が極めて少ない。 それに対して欧米諸国で上市されながら国内で上市されていない大型製品が今後次々と上市されると予想される。 また,外資企業の大型製品の特許がここ数年間に失効するため,特許失効後も売上が激減することのない日本市場への拡大に注力すると予想される。 これら3つの要因は外資企業の比率を今後も上昇させるに違いない。

 今のところは立ち遅れている日本のバイオ創薬が,確実に力を付けて数年後には欧米を追い越して,国内医療用医薬品市場に日本発新薬を送り込み,内外比率を再び好転させることを期待している。
(註1.) 03年国内医療用医薬品出荷額は,02年実績64,107億円に1.045を乗じて(4.5%成長と仮定して)算出した。
(註2.) 表の計算の根拠を付表1.および付表2.に示した。



付表1. 国内医療用大型製品(年商100億円以上)の内資企業分の集計

企業
(売上:億円)
主要製品売上:億円主要製品
合計:億円
400億円以上399〜200億円199〜130億円129〜100億円
武田(4263)ブロプレス(927)
ベイスン(569)
リュープリン(568)
タケプロン(422)
 パンスポリン(148)
アイソボリン(139)
セルタッチ(132)
アクトス(116)
ベネット(107)
カルスロット(101)
3229
山之内(2915)リピトール(776)
ガスター(753)
ハルナール(467)
 フランドル(137)ペルジピン(115)
ドルナー(100)
2348
三共(2477)メバロチン(1018)ロキソニン(274)クレメジン(130)エースコール(121)
エスポー(100)
1643
エーザイ(2412) メチコバール(318)
アリセプト(284)
セルベックス(244)
パリエット(146)グラケー(100)1092
第一(2201)クラビット(474)オムニパーク(357)
パナルジン(313)
アーチスト(138)サンリズム(108)1390
三菱ウェルファーマ(1994) ラジカット(298)テオドール(181)
ウルソ(164)
アンプラーク(143)
ウェノグロブリン-IH
(138)
デパス(116)
リプル(110)
1150
塩野義(1705) フロモックス(345)フルマリン(193)
バンコマイシン(182)
リンデロン等(101)821
藤沢(1698) セフゾン(212) ファンガード(111)
マイスリー(110)
セロクエル(104)
537
田辺(1409)  ヘルベッサー(158)
タナトリル(149)
サアミオン(129)
セレジスト(122)
558
小野(1302) オパルモン(234)
オノン(231)
キネダック(228)
フォイパン(172) 865
協和発酵(1236) コニール(289)
イトリゾール(234)
アレロック(133) 656
住友(1209)アムロジン(427)  メロペン(101)528
大日本(1170)  クラリシッド(189)
ガスモチン(152)
エンシュアL(138)
エバステル(102)581
帝人(931)   ムコソルバン(117)
ワンアルファ(115)
232
大正(830) クラリス(276)パルクス(132) 408
参天(709)  ヒアレイン(139)
クラビット(130)
269
明治製菓(707)  メイアクト(173) 173
科研(608)  アルツ(181) 181
持田(561) エパデール(280)  280
キリン(553) エスポー(399)グラン(133)532
杏林(515)  ムコダイン(180) 180
キッセイ(513)   ベザトール(113)113
久光(495) モーラステープ(329)モーラス(140) 469
旭化成(483)  エルシトニン(188) 188
鳥居(421)  注用フサン(132) 132
日研(413)  テオドール(139) 139
大塚 ムコスタ(295)
プレタール(229)
 524
27社合計640156694729241919218



付表2. 国内医療用大型製品(年商100億円以上)の外資企業分の集計

企業
(売上:億円)
主要製品売上:億円主要製品
合計:億円
400億円以上399〜200億円199〜130億円129〜100億円
ファイザー(2895)ノルバスク(990)カルデナリン(243)
キサラタン(216)
ジフルカン(198)
ジェノトロピン(198)
ジスロマック(135)
スルペラゾン(126)
ユナシン(100)
カバサール(100)
2306
ノバルティス(2106)ディオバン(639)ラミシール(279)ボルタレン(189)
ネオーラル(180)
グリベック(162)
ザジテン(126)
ローコール(108)
ニトロダーム(108)
1791
中外(2075)エポジン(675) アルファロール(173)
シグマート(155)
ノイトロジン(135)
フルツロン(130)
タミフル(120)1388
グラクソ・SK(1607) パキシル(297)フルタイド(162)
ゾビラックス(149)
ザイロリック(132)
ザンタック(122)
バルトレックス(122)
984
アストラZ(1362)    
アベンティス(1209) アレグラ(234) アマリール(118)352
日本ベーリンガーI(796)  アレジオン(183)レンドルミン(117)300
日本シェーリング(651) イオパミロン(337)  337
ヤンセン(610)  リスパダール(180) 180
日本Eリリー(594)  ジプレキサ(144) 144
万有ニューロタン(635)
リポバス(501)
レニベース(247)チエナム(140)シングレア(126)1649
バイエル アダラート(362) グルコバイ(113)475
11社合計34402215274515069906

付表の集計は表1.の註に記載の方法でおこなった。





筆者より

台風被害の頻発と地震被害と,まさに天変地異ともいうべき状況が継起しております。 皆様いかがお過ごしかと案じております。 11月のレポートをお届けします。

 10月1日早々にMerckがCOX-II阻害剤Vioxxを副作用の惧れのために全世界で自主的に販売中止するというニュースが飛び込んできました。
 Vioxxの03年売上高は2,565百万ドルで,Merckの03年医薬品売上高22,486百万ドルの実に11.4%を占める大型製品です。

 04年上半期(1月〜6月)の実績でもVioxxは1,314百万ドルと好調な成績を収め,Zocor(2,665百万ドル),Fosamax(1,551百万ドル),Cozaar/Hyzaar(1,354百万ドル)に次いで売上規模第4位の製品となっています。 ちなみに,第5位はSigulair(1,266百万ドル)で,これら1,000百万ドル超5品目(売上合計8,150百万ドル)で,医薬品売上(11,653百万ドル)の69.9%を占めるという構造になっています。
 まさにMerckの大英断であったと考えます。 マイナスデータを含めて臨床試験成績の公開が進行しつつある米国の状況を勘案すると,Merckは却って先手を打って自主的販売中止に踏み切ったのであろうと推察されます。

 もっとも,それを可能とするMerckの状況も見逃せません。 Vioxxを除く上記の4品目が04年上期で見る限りでも,いずれも前年同期比プラス成長であり,Vioxxに続く次世代COX-II阻害剤Arcoxiaが未だ小規模(92百万ドル)とはいえ順調に成長路線に乗っており,これらが下支えして大英断を可能にする要因となったと考えられます。 時期的にMerckにとって不幸中の幸いであったのかも知れません。

 また,今回の例は別の目的で実施した長期投与臨床試験で,従来経験的になんとなくいわれていた惧れが数値的に立証されたことが直接の契機となったと報じられています。 すでにいわれているように,米国のまず有効な新薬は承認しようという審査方針に影響を与えるかも知れませんし,日本未発売のCOX-II阻害剤の審査に影響することは必至と考えられます。
 そして一般的にある種の新薬に対しては長期臨床試験が申請に際して求められるようになるかも知れません。 安全性重視の立場からは歓迎すべきであるでしょうが,開発コストの上乗せにつながることも見逃せません。

 今月は,大型製品から見た内資と外資の力関係について書いてみました。

 今年は,天候不順で猛暑から一気に冷涼に移ってしまいました。 しかし,各地の紅葉は順調に進んでいるようです。 また,皆様のご健勝でのご活躍を祈念申し上げます。

                

(2004.10.18.YPC)



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