| 医薬品評価誌The Medical Letterメルマガ#1326 [コルヒチン他の痛風治療薬/高血圧治療薬アリスキレン/バルサルタン配合剤(Valturna)/低ナトリウム血症治療薬トルバプタン(Samsca)] |
「The Medical Letter日本語版」は、原則的にFDA承認新薬[新規成分]の全部を評価しますが、
その領域の主要薬剤の位置づけと評価、更に市場・最新動向をレポート。
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| 第1326号のトピック![2009.12.30] |
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コルヒチンおよびその他の痛風治療薬
高血圧治療薬アリスキレン/バルサルタン配合剤(Valturna) 低ナトリウム血症治療薬トルバプタン(Samsca) |
| コルヒチンおよびその他の痛風治療薬 |
Colchicine and Other Drugs for Gout
最近になってフェブキスタットFebuxostat(Uloric)1が市場に導入されるまで、40年間痛風の新薬は発売されなかった。 数十年にわたり未承認薬として使用されてきたコルヒチンが、このほど痛風再燃の治療および予防薬(Colcrys)としてFDAに承認された。 これまで本剤はプロベネシドとの配合剤(Colbenemid他)として承認されていた。 痛風の治療目標は、急性期の治療、再燃予防および乳酸蓄積の低下の3要素からなる2。
【日本語版コメント1326〜コルヒチンおよびその他の痛風治療薬】
痛風は、過飽和の高尿酸体液より析出した尿酸一ナトリウムの結晶が関節および腱の内部やまわりに沈着することにより起こる末梢関節の再発性の急性または慢性関節炎。 尿酸はプリン分解経路の終末代謝産物として生成され、再利用されずに主に腎臓から排泄される。この尿酸の生成と排泄の関係にアンバランスが生じている状態が、高尿酸血症。 高尿酸血症は、血清尿酸値7.0mg/dL以上と定義されている。 帝人ファーマの推計では日本で、高尿酸血症患者約700万人、痛風患者は約87万人。 そのうち、患者調査(2005年度)では、高尿酸血症10.9万人、痛風13.9万人が治療を受けている。
「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版」(日本痛風・核酸代謝学会,2010.1)が7年ぶりに改定された。 痛風の発作予兆時にはコルヒチンが第一選択。 高尿酸血症に対する治療には、尿酸排泄促進薬(プロベネシド、ブコローム、ベンズプロマロン)、尿酸生成抑制薬(アロプリノール)を使用する。 既存療法では例えばアロプリノールの承認時臨床成績が国内延べ15施設において痛風、高血圧症を伴う高尿酸血症343例に対する有効率は、それぞれ88.0%(146/166)、86.4%(153/177)、副作用は調査症例2866例中118件(4.1%)であることから、比較的満足度は高い。
フェブキソスタットは、帝人ファーマが創製した新規痛風治療薬で、アロプリノールとは全く異なる基本構造を有する、世界初の非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤であり、1日1回の服薬で尿酸低下作用を発揮する。本剤は、強力な尿酸生成抑制効果に加え、腎機能低下などにより既存治療薬を使えなかった患者にも使用可能であり、帝人ファーマは世界戦略商品として位置付けており、ピーク時の売上高は欧州で400〜600億円/年、全世界で1,000億円以上/年を目指している。 欧州で承認(2008.4.21)、米国でも発売(2009.3.13)され、日本では再申請(2009.12.25)した。
→詳細は参考資料●MLリソース:尿酸排泄剤に纏めた。
<日本語版コメント要約>
・従来から未承認で痛風の治療に用いられてきたコルヒチンが、このほど痛風再燃の治療および予防薬として承認された。
・承認された用法は、1.2 mgを単回服用し、その1時間後に0.6 mgを服用するもので、従来の用法と同等の効果で毒性は低下することが明らかにされた。
・その他、痛風治療薬についてまとめた。
| 高血圧治療薬アリスキレン/バルサルタン配合剤(Valturna) |
Aliskiren/Valsartan (Valturna) for Hypertension
FDAは、直接的レニン阻害薬アリスキレンAliskiren(Tekturna;ラジレス(R)錠)と、アンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin-receptor blocker:ARB)バルサルタン(Diovan;ディオバン)の配合剤Valturna(Novartis;日本未開発)を、既に両薬剤を服用している患者あるいは単剤でコントロール不良の患者の降圧治療薬として、また血圧コントロールに複数の薬剤を要する可能性が高い患者の初期治療薬として承認した。
【日本語版コメント1326〜高血圧治療薬アリスキレン/バルサルタン配合剤(Valturna)】
高血圧治療薬の世界市場規模(2009)は400億ドルと推定されるが、2年前(2007)の500億ドルから激減したのは、ARB以外のACE阻害剤、Ca拮抗剤(ノルバスク等)、β遮断剤の主要製品の特許切れによる競争激化と価格凋落、更に市場飽和により新薬による代謝がないことに起因する。 高血圧治療薬のうちARBが75%を占める。 以下売上順に、ディオバンDiovan/Co-Diovan [ノバルティス社;valsartan製剤、日本発売2000年11月、国際誕生1996年5月]がトップ5,612億円($6,013m,+5%) 第2位ブロプレス[武田薬品工業;カンデサルタン製剤、日本発売1999年6月] 2,303億円(+3.3%) +Atacand[AstraZeneca] 1,320億円($1,436m,-2%)合算3,623億円 第3位ニューロタン/Cozaar/Hyzaar [米メルク社;ロサルタン製剤、日本発売1998年8月、国際誕生1994年9月] 3,323億円($3,560m,+0.1%) 第4位アバプロ/イルベタン/Aprovel[サノフィアベンティス社;イルベサルタン製剤、日本発売2008年7月、国際誕生1997年8月]が2,702億円(Eur 2,012m,+1.7%;BMS分合算) 第5位オルメテック/ベニカー[第一三共;オルメサルタン製剤、日本発売2004年5月、国際誕生2002年5月] 2,355億円(+11.5%) 第6位ミカルディス/Micardis[独ベーリンガーIng社;テルミサルタン製剤、日本発売2005年1月、国際誕生1998年11月] 1,637億円(Eur 1,219m,+15%)。
また最近の新薬としてはダイレクト・レニン阻害剤アリスキレンaliskiren製剤(「ラジレス(R)錠」/Tekturna/Rasilez[ノバルティス])が登場し(米国発売2007.4;日本は2009.10.1発売)注目を集めている。2009年度売上高$290m(271億円)。
開発中の新薬は大半がARBとの配合剤で、最近発売された新薬も、「カデュエット配合錠」(アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合剤)[アステラス製薬、ファイザー]が発売09.12.12、「エカード配合錠」(カンデサルタン/HCTZ)[武田薬品工業]発売2009.3.13、「エックスフォージ@タ配合錠」(バルサルタン/アムロジピン)[ノバルティス]承認2010.1.20、「コディオ配合錠」(バルサルタン/HCTZ)[ノバルティス]発売2009.3.13、「ミコンビ配合錠」(テルミサルタン/HCTZ)[アステラス製薬/日本ベーリンガーインゲルハイム]]発売2009.6.23、とARBとの配合剤。 単味剤としては、先のラジレス錠と、「イルベタン錠 50r、100r」(イルベサルタン)[塩野義製薬]が発売2008.7.1
→詳細は参考資料●MLリソース:高血圧治療剤[1048_add]●MLリソース:高血圧治療剤[個別薬剤][1065_add]に纏めた。
<日本語版コメント要約>
・レニン阻害薬アリスキレンとARBバルサルタンの配合剤Valturnaが承認された。
・本剤の適応には、血圧コントロールに複数の薬剤を要する可能性が高い患者の初期治療薬が含まれるが、そのような使用法の研究データは発表されていない。
・本配合剤の降圧効果は各薬剤を単剤で投与した場合よりも大きいが、バルサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤の最大量投与時よりも小さい。
| 低ナトリウム血症治療薬トルバプタン(Samsca) |
Tolvaptan (Samsca) for Hyponatremia
FDAは、うっ血性心不全(congestive heart failure:CHF)、肝硬変または抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion:SIADH)による体液貯留型(hypervolemic)または正常体液型(euvolemic)低ナトリウム血症の治療薬として、経口バソプレシン受容体拮抗薬トルバプタンtolvaptan(Samsca − Otsuka;日本は第3相)を承認した。 既に類似薬のコニバプタンconivaptan HCl(Vaprisol;日本は治験開始)が、入院患者における正常体液型低ナトリウム血症の静注治療薬として販売されている1。 トルバプタンは入院、外来を問わずFDAに承認されたが、入院中に投与を開始すべきである。
【日本語版コメント1326〜低ナトリウム血症治療薬トルバプタン(Samsca)】
低ナトリウム血症は、心不全や肝硬変患者の予後に影響を与えるもので、正常な血清ナトリウム濃度は135〜145mEq/Lで、135mEq/L未満は低ナトリウム血症と診断される。 血清ナトリウム値が急激に低下する場合、混乱を伴う精神状態の変調、昏睡、痙攣発作などが生じ、血清ナトリウム値が徐々に低下する場合でも、筋痙攣や頭痛などが引き起こされることがある。また、慢性的な低ナトリウム血症患者は、注意欠如、非静穏性、歩行障害、姿勢保持困難、転倒回数の増加などの症状を抱え、その他の症状として、悪心・嘔吐、興奮、衰弱などがある。
SIADHは、不適切に分泌されたバソプレシンが腎集合管のV2受容体を介して水の再吸収を促進し、腎臓からの水の排泄を抑制することにより、水分貯留を起こすことで、低ナトリウム血症の原因となる。SIADHの発症原因は様々だが、中でも悪性腫瘍(抗利尿ホルモン産生腫瘍)、中枢神経性疾患、薬剤などにより発症することが知られる。 厚生労働省の全国調査(1999年)ではSIADHの患者数推計は1,700人だが、診断がむずかしいこともあり実数はこの10倍前後が1年間に発生しているものと考えられた。 これまでの低ナトリウム血症の治療薬は米国では注射剤Vaprisol バプリゾール(一般名コニバプタン塩酸塩)が2006年4月発売、今回経口剤Samsca サムスカ(一般名トルバプタン)が2009年5月19日FDA承認、2009年8月3日EMEA承認。 日本ではフィズリン錠30r[大塚製薬](一般名塩酸モザバプタン)が2006年10月24日から販売されている。
SAMSCAは、米国で初めての経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤で、心不全、肝硬変、および抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)などの患者における、臨床的に問題となる体液貯留型、および体液正常型低ナトリウム血症の適応症で承認された。
→詳細は参考資料●MLリソース:低ナトリウム血症治療薬に纏めた。
<日本語版コメント要約>
・うっ血性心不全、肝硬変またはSIADHによる体液貯留型(hypervolemic)または正常体液型(euvolemic)低ナトリウム血症の治療薬として、経口バソプレシン受容体拮抗薬トルバプタンが承認された。
・本剤は血清ナトリウム濃度を上昇させるが、症状軽減や死亡抑制効果は示されていない。
・入院患者における正常体液型低ナトリウム血症の静注治療薬として先に承認されているコニバプタンとの比較データはない。
| お知らせ |
| 調査レポート「変容する脂質異常症治療薬」を発行しました。 新刊! 詳細→http://www.medmk.com/ykk/ ;2008.5.13 |
まえがき 脂質異常症の診断基準と治療動向 脂質異常症の患者動向――ガイドライン改訂で患者は減るのか 脂質異常症治療薬の現状――安心して使える成熟製品,新作用機序品の登場 脂質異常症治療薬の市場動向――既存品低迷,新作用機序登場,generic好調 脂質異常症治療薬の開発動向――ポスト・スタチン時代への挑戦 脂質異常症治療薬関連の主要企業・注目企業の現状と今後――企業ランクは変動するのか? 5年後の脂質異常症の治療・市場動向予測――ガイドライン徐々に浸透,患者増,市場横這い まとめ
【発行元】 株式会社メドレット 【編集人】 小菅 博之 【お問合せ】support@medmk.com 【メルマガ以前の号】 http://www.medmk.com/mm/mailmg/ 【メルマガ購読・中止】 http://www.medmk.com/mm/mailmg/mailmg_ty.htm 【メルマガ配信】 まぐまぐ [マガジンID: 0000200844] 【注 意】 Hotmailで受信される方は、Outlook Express/Outlook で御覧ください。 Hotmailでhtmlメルマガを受信する場合、一部不具合が発生し、この本レポートの 場合も正常表示されません。 他のメールアカウントに転送してもokです。 ●「The Medical Letter日本語版」本誌読者ヘ このメルマガの宛名末尾にある xxxx-xxxxxxxx という数字は、あなたのWEB ID-Passwordです。[購読者用] 本メルマガは読者のうちメールアドレスをご登録頂いているには原則として配信 しています。 既刊分 →http://www.medmk.com/mm/mailmg/
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