医薬品評価誌The Medical Letterメルマガ#1283
[Simcor:ニコチン酸/シンバスタチン配合剤(Abbott)/CML治療薬ニロチニブ(Tasigna−Novartis)/1日1回投与の勃起不全治療薬タダラフィル(Cialis−Lilly)/【短信】髄膜炎菌感染予防]

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その領域の主要薬剤の位置づけと評価、更に市場・最新動向をレポート。

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第1283号のトピック![2008.5.7]

Simcor:ニコチン酸/シンバスタチン配合剤(Abbott)

CML治療薬ニロチニブ(Tasigna−Novartis)

1日1回投与の勃起不全治療薬タダラフィル(Cialis−Lilly)

【短信】髄膜炎菌感染予防





Simcor:ニコチン酸/シンバスタチン配合剤(Abbott)

Simcor: A Niacin/Simvastatin Combination

 FDAは、ニコチン酸の徐放性製剤(Niaspan;日本未開発)とジェネリックのスタチンの配合剤としては2番目の薬剤の販売を承認した。 Niaspan/シンバスタチン(Simcor −Abbott;日本未開発)は、高コレステロール血症または混合型脂質異常症(dyslipidemia)(高LDLコレステロール、低HDLコレステロールおよび高血清トリグリセリド)の患者を適応として承認された。 同じ適応症で、先にNiaspan/ロバスタチン(Advicor;日本未開発)が販売されている1。

【日本語版コメント】
脂質異常症治療薬市場規模は依然巨大で2007年度で、世界約3兆円(265億ドル)日本3000億円。 スタチン製剤がジェネリックの出現にもかかわらずシェアは世界70%2兆円、うちリピトール1.4兆円($12.675Billion)シェア48%(スタチンの68.8%)、日本でもスタチンのシェア81%、リピトール33%(同41%)。 スタチン製剤は高脂血症薬として金額面では大部分を占めるが、日本でも特許切れに伴い、プラバスタチン製剤メバロチン(2003.7以来ジェネリック31品目)、シンバスタチン製剤リポバス(2004.7以来ジェネリック25品目)は激しい競争にさらされている。
新薬としてゼチーア錠(一般名エゼチミブ)[シェリング・プラウ]が2007.6.11に発売され、これはコレステロール吸収阻害剤として海外では急成長し24億ドル(2,655億円;2007年度+25%)の大型品だが、同系配合剤バイトリン(27.79億ドル3,065億円+42%)の有効性疑義問題が発生し急成長が頓挫している。
他には高TG血症の第一選択のフィブラート系薬剤はシェア7.1%(2,052億円)と堅調。 また日本では使われないニコチン酸徐放性剤Niaspan[アボット]が米国で726億円(6.58億ドル)も使われている。 今回採上げたSimcorはニコチン酸徐放性剤とシンバスタチンの配合剤である。

 →詳細は参考資料●MLリソース:高脂血症治療薬に纏めた。
【要約】
・FDAは、ニコチン酸の徐放性製剤(Niaspan)とジェネリックのスタチンの配合剤としては2番目の薬剤の販売を承認した。
・本剤は、LDL-Cおよびトリグリセリドを低下させ、HDL-Cを増加させる。
・本配合剤は、混合型脂質異常症の一部の患者に適しており、服用しやすいと思われる。


 日本語版註)simvastatin/niacin extended-release tablet (Simcor[Abbott])徐放性ニコチン酸/シンバスタチン配合剤(シムコール)
 【別名】KS-01-019 【開発元】Abbott  [DBR_ID]
 【承認】FDA申請=April 17, 2007、FDA承認=Feb 15, 2008、米国発売(Solvayと共販); 【製剤】持効錠-ニコチン酸/シンバスタチンを各500MG;20MG/750MG;20MG /1GM;20MG
 【適応】1)原発性高コレステロール血症および混合型脂質異常症患者でシンバスタチンまたは徐放性ニコチン酸単独療法が不十分なとき、総C, LDL-C, Apo B, non-HDL-C, TGを低下させ、あるいはHDL-Cを上昇させる。 2)高トリグリセリド血症(フレデリクソンIV型高脂血症)患者でシンバスタチンまたは徐放性ニコチン酸単独療法が不十分なとき、TGを低下させる
 【用法用量】1日1回500/20mg〜2000/40mgを服用 【作用】
 【特徴】SEACOAST試験でシンバスタチン単独投与群に比べ、7-25%HDLコレステロール値の改善効果が得られた;
 【製品情報】www.simcortablets.com 【添付文書】Simcor-PI 【EU】未開発 
【日本】未開発 【その他】米国はSolvayと共販(2007.10.22契約)




CML治療薬ニロチニブ(Tasigna−Novartis)

Nilotinib (Tasigna) for CML

 チロシンキナーゼ阻害薬塩酸ニロチニブnilotinib HCl(Tasigna −Novartis;日本でタシグナ/AMN107[ノバルティス]申請2007.6.26)が、イマチニブ(Gleevec;グリベック[ノバルティス])耐性または不忍容のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)または移行期の慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)の治療薬として、FDAに承認された。

【日本語版コメント1283〜慢性骨髄性白血病(CML)】
慢性骨髄性白血病(CML)は、骨髄の造血幹細胞に染色体相互転座が起こり、bcr-ablと呼ばれる遺伝子が生じることで発生する白血病。現在CML治療の第一選択薬として位置づけられている「グリベック」は、bcr-abl遺伝子が産生するチロシンキナーゼ活性を阻害し、高い治療効果を示すことが証明されている。
 CML患者は日本国内で約8千人で、うち1割程度がグリベック抵抗性又は不耐容と考えられているが、その場合治療選択肢は限られており患者の予後が極めて不良である。 同系統の薬剤ではSprycel(ダサチニブdasatinib)[ブリストル・マイヤーズ株式会社] が米国2006.7承認、日本では申請中。 今回評価する同系のタシグナ(塩酸ニロチニブ)も日本で2007.6.26申請。

 →詳細は参考資料●MLリソース:白血病治療薬に纏めた。
【要約】
・イマチニブ耐性または不忍容のフィラデルフィア染色体陽性または移行期の慢性骨髄性白血病の治療薬として、ニロチニブがFDAに承認された。
・オープンラベル試験での細胞遺伝学的奏功率は48%、細胞遺伝学的完全寛解率は31%。
・本剤と既存のダサチニブとの直接比較データはない。
・本剤はQT間隔を延長させるため、定期的に心電図検査を行うべきである。


 日本語版註)CML治療薬塩酸ニロチニブ nilotinib HCl (Tasigna−Novartis)タシグナ
 【別名】AMN107 【開発元】Novartis AG  [DBR_ID]
 【化学名】4-methyl-N-[3-(4-methyl-1H-imidazol-1-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl]-3-[[4-(3-pyridinyl)-2-pyrimidinyl]amino]-benzamide, monohydrochloride,monohydrate
 【承認】FDA申請=Sep 29, 2006、FDA承認=Oct 29,2007 ; 【製剤】カプセル中200 mg nilotinib (塩酸塩として) 
【適応】グリベックを含む既存療法抵抗性又は不耐容な成人慢性骨髄性白血病の治療
 【用法用量】1日400mgを2回、12時間毎に。
 【作用】Bcr-Abl kinase阻害剤。キナーゼ阻害活性がイマチニブの20〜50倍強力で、かつ選択性も高められたBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬で、既に、イマチニブ治療に十分に反応しない患者のセカンドチョイスとして、高い臨床効果を示すことが報告されている。 【特徴】
 【製品情報】www.tasigna.com 【添付文書】Tasigna-PI 【EU】Tasigna[Novartis]EU承認勧告2007.9.21、承認19 Nov 2007 
【日本】タシグナ(R)[ノバルティス]申請2007.6.26  【その他】




1日1回投与の勃起不全治療薬タダラフィル(Cialis−Lilly)

Tadalafil (Cialis) Once a Day for Erectile Dysfunction

 ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬タダラフィルtadalafil(Cialis −Lilly;日本はシアリス[日本イーライリリー]発売2007.9.12、但し1日1回製剤は未開発)が、1日1回投与の勃起不全治療薬として宣伝されている。 タダラフィルは、米国で同じく勃起不全治療薬として販売されているPDE5阻害薬のシルデナフィル(Viagra;バイアグラ)やバルデナフィル(Levitra;レビトラ[バイエル薬品])に比べ、作用持続時間がきわめて長い1。

【日本語版コメント】
世界ED治療薬市場は2007年度3,954億円でバイアグラ1,945億円($1,764m;シェア49.2%)、シアリス1,345億円($1,220m;34.0%)、レビトラ643億円(16.3%;Bayer 332Euro m,GSK£49m)。 3剤ともPDE5阻害剤で日本でも遅れたものの発売されている。 日本の潜在患者数は1,130万人以上の男性とされるが、病医院で治療する患者は4,000人(2005年)程度なので、実際の患者数は数万人程度。 有効率は60-80%程度なので新規参入の需要はあるが、日本の開発中新薬は皆無で、海外で10製品ほど開発中だがかつてのブームは去った。
 今回評価したのはシアリスの1日1回投与製剤(既存品は必要時のみ服用)。

 →詳細は参考資料●MLリソース:勃起不全治療薬に纏めた。
【要約】
・ホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィルが、1日1回投与の勃起不全治療薬として宣伝されている。
・本剤は、同適応症の既存薬シルデナフィルやバルデナフィル比べ、作用持続時間がきわめて長い。
・低用量の1日1回服用で、高用量を必要時のみ服用した場合と同等の効果が得られる。
・肺動脈高血圧症に対するシルデナフィルの長期使用成績から、少なくとも1年間は安全だと思われる。


 [1172]日本語版註)tadalafil(Cialis [Lilly ICOS Ltd])タダラフィル(シアリス)(see-AL-iss)
 【別名】IC351;LY450190 【開発元】ICOS  [DBR_ID]x
 【化学名】(6R-trans)-6-(1,3-Benzodiox-ol-5-yl)-2,3,6,7,12,12a-hexahydro-2-methyl-pyrazino-[1',2':1,6]pyrido[3,4-b]indole-1,4-dione. CAS-171596-29-5
 【承認】FDA申請=2001.6.28、FDA承認=2003.11.21、発売=2003.12初め ;【製剤】Tablets - 5mg, 10mg and 20mg tadalafil
 【適応】勃起不全の治療(erectile dysfunction) 【用法用量】初回10mg1日1回迄随時使用。以降5mgに減量または20mgに増量。
 【作用】PDE5 Inhibitor;性的刺激により一酸化窒素(NO)の局所的な遊離が生じる際に、タダラフィルは、陰茎海綿体に存在するホスホジエステラーゼ タイプ5(PDE5)を選択的に阻害し、陰茎の動脈及び海綿体の平滑筋内のcGMP を増加させる。その結果、平滑筋が弛緩し、陰茎組織への血流が増加して勃起が達成される。
 【特徴】薬物動態が食事の影響を受けず、かつ、有効性が36時間認められるという特徴を有している
 【製品情報】www.cialis.com 【添付文書】http://pi.lilly.com/us/cialis-pi.pdf
 【EU】Cialis INN: tadalafil /Rev. 5 31/10/07 [Eli Lilly] - 申請2001.7.12、諮問委承認勧告2002.7.25、承認2002.11.12;既に107ヵ国(2007年3月現在)で承認されている。まず、2002年10月、オーストラリアにおいて承認され、その後、EUでは2002年11月に、カナダにおいては2003年9月に、米国では2003年11月に承認された。アジア各国においては、シンガポール(2003年1月)、台湾(2003年7月)、韓国(2003年7月)、中国(2004年12月)で承認された。
【日本】シアリス錠5mg,10mg,20mg[第1種医薬品製造販売/日本イーライリリー株式会社]Cialis申請2005.9、承認2007.7.31、薬価x、発売2007.9.12 【製剤〜日本】1錠中タダラフィル5mg,10mg,20mg 【適応〜日本】勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者) 【用法用量〜日本】通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与する。10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。
 【添付文書〜日本】シアリス錠 - インタビューフォーム
 【その他】国内プラセボ対照二重盲検比較試験において、「挿入の成功*」は5mgで72.1%、10mgで81.1%、20mgで82.1%、「性交の成功*」は、5mgで51.4%、10mgで64.6%、20mgで68.4%であった。


 [1283]日本語版註)1日1回投与の勃起不全治療薬タダラフィル(Cialis−Lilly)シアリス
 【別名】IC351;LY450190 【開発元】ICOS  [DBR_ID]
 【承認】FDA申請=Dec 6, 2006、FDA承認=Jan 07,2008 【製剤】Tablets - 2.5mg and 5mg tadalafil 【適応】勃起不全の治療 【用法用量】2.5mg1日1回服用 【作用】 【特徴】
 【製品情報】www.cialis.com 【添付文書】http://pi.lilly.com/us/cialis-pi.pdf
 【EU】EU申請2006.6.13、承認2007.10.31[1日1回連日服用] 
【日本】未開発 【その他】




【短信】髄膜炎菌感染予防

Meningococcal Prophylaxis

 CDC(米国疾病予防管理センター)は、このほど、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のフルオロキノロン耐性菌株がノースダコタ州とミネソタ州の州境地域で発見されたと報告した(CDC. MMWR, Feb 22, 2008)。 これらの菌株は、いずれも髄膜炎ワクチン(Med Lett Drugs Ther 2005; 47:29、通巻1206号、日本語版21(8)29,11-Apr-2005)では防御できない血清グループBである。 多くの研究施設は髄膜炎の抗菌薬感受性を検討していないことから、耐性はさらに拡大する可能性がある。

 感染患者との接触後予防には、シプロフロキサシン(Cipro他;シプロキサン他)500 mg単回経口投与が用いられている。 その他の選択薬としては、経口リファンピシン(Rifadin他;リファジン、リマクタン他)600 mg(小児10 mg/kg)12時間ごと2日間投与、セフトリアキソン(Rocephin他;ロセフィン他)250 mg(小児125 mg)単回筋注投与、またはアジスロマイシン(Zithromax他;ジスロマック)500 mg(小児10 mg/kg)単回経口投与がある。




お知らせ

調査レポート「変容する脂質異常症治療薬」を発行しました。
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  まえがき
   脂質異常症の診断基準と治療動向
   脂質異常症の患者動向――ガイドライン改訂で患者は減るのか
   脂質異常症治療薬の現状――安心して使える成熟製品,新作用機序品の登場
   脂質異常症治療薬の市場動向――既存品低迷,新作用機序登場,generic好調
   脂質異常症治療薬の開発動向――ポスト・スタチン時代への挑戦
   脂質異常症治療薬関連の主要企業・注目企業の現状と今後――企業ランクは変動するのか?
   5年後の脂質異常症の治療・市場動向予測――ガイドライン徐々に浸透,患者増,市場横這い
   まとめ





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【編集人】 小菅 博之
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ML資料:FDA諮問委員会〜議題




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