| 医薬品評価誌The Medical Letterメルマガ#1248 [侵襲性真菌感染症治療薬ポサコナゾール(Noxafil -Schering-Plough)/ざ瘡治療薬ミノサイクリン徐放性製剤(Solodyn -Medicis)] |
「The Medical Letter日本語版」は、原則的にFDA承認新薬[新規成分]の全部を評価しますが、
その領域の主要薬剤の位置づけと評価、更に市場・最新動向をレポート。
●What' New
| 本メルマガ発行を不本意ながら2006.9.30日を最後に約半年間(1239-1250号迄分)も休載してしまいましたことを深くお詫び申し上げます。 改めて1239-1250号分を遡ってまとめて発行致します。 今後は定期的に発行するように心がけますので、よろしくお願い致します。 |
| 第1248号のトピック![2006.12.20] |
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侵襲性真菌感染症治療薬ポサコナゾール(Noxafil -Schering-Plough)
ざ瘡治療薬ミノサイクリン徐放性製剤(Solodyn -Medicis) |
| 侵襲性真菌感染症治療薬ポサコナゾール(Noxafil -Schering-Plough) |
Posaconazole (Noxafil) for Invasive Fungal Infections
イトラコナゾール(Sporanox;イトリゾール[ヤンセンファーマ])類似の化学構造を持つ経口アゾール系抗真菌薬ポサコナゾールPosaconazole(ノキサフィルNoxafil − Schering-Plough;日本では治験実施中)が、重度免疫低下患者におけるカンジダおよびアスペルギルス感染の予防と、中咽頭カンジダ症の治療を適応としてFDAに承認された。 本剤は、Mucorやその他の接合菌類を含む他の真菌感染症の治療にも適応外使用される可能性がある1。
【日本語版コメント】
「患者調査2002」 によると日本の真菌症患者数は、46万人。表在性真菌症が38.2万(大半が白癬)、カンジダ症7.1万(膣カンジダ6万)、アスペルギルス症3千人、他の真菌症4千人。 カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどの病原真菌による深在性真菌症は、化学療法中の癌患者や免疫抑制薬を投与中の患者に発症しやすい日和見感染症で、治療には、経口および注射(点滴)の抗真菌薬が使用される。
中でも、抗真菌活性やスペクトル、組織移行性などの面から、ほかの抗真菌薬に比べて有用性や安全性が優れている薬剤として評価されているのが、フルコナゾール(ジフルカン)、イトラコナゾール(イトリゾール)、ホスフルコナゾール(プロジフ)、ボリコナゾール(ブイフェンド)などのアゾール系抗真菌薬である。アゾール系抗真菌薬は、真菌のチトクロームP450に特異的に作用し、真菌細胞膜の主構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することで静菌的に作用する。
しかし近年、アゾール系抗真菌薬が十分な効果を発揮しないアスペルギルス症や耐性カンジダ属などの増加により、治療に苦慮する深在性真菌症が増加している。こうした真菌にも有効な薬剤として、新しい分子構造と作用機序を有するキャンディン系抗真菌薬が登場した。 2001年2月米国に登場したカスポファンギン(CSFG;メルク社)が世界初、次いで2002年12月にミカファンギン(MCFG)。
キャンディン系抗真菌薬は真菌の細胞壁の主要構成成分(グルカンポリマー)の産生に関与する1,3-β-グルカン合成酵素の活性を特異的に阻害することで、抗真菌作用を発揮する。従って1,3-β-Dグルカンを細胞壁に豊富に含むアスペルギルス属やカンジダ属に抗真菌活性を有し、1,6-β-Dグルカンを主成分とするようなクリプトコックスには無効である。人細胞に存在しない細胞壁が標的であることから、理論的にも副反応の頻度や程度が低いと予測され、現在までの限られた臨床使用においてではあるが、極めて安全性の高い薬剤と考えられている。
市場的にはキャンディン系薬剤は、第1号新薬のCandidas注[Merck](caspofungin)が当初、なかなか医家に受け入れられなかったものの最近は急速に繁用されるようになり2005年間売上高$570.0m(約673億円)で第2位。 ファンガード[アステラス]は2005年間売上高152億円で第8位。
侵襲性真菌感染症は、免疫機能障害あるいは免疫抑制状態の患者に生じることが多く、アスペルギルスなどのかび類により生じる例が増えている。 侵襲性真菌感染症(IFIs)は、これらのハイリスク患者集団における主要な死因となっている。急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)など、悪性血液疾患により造血幹細胞移植や化学療法を受けている患者が、侵襲性真菌感染症(IFIs)を発症すると、死亡率が60〜90パーセントと高くなる。
侵襲性アスペルギルス症にはアムホテリシンBが世界標準薬(アムビゾーム点滴静注用50mg[大日本住友製薬])だが、最近開発されたボリコナゾール(ブイフェンド[ファイザー])は、より有効性が高いと主張している。 今回採り上げたFDAで2006.9承認のポサコナゾールは侵襲性アスペルギルスおよびカンジダ感染の初の予防薬。
→詳細は参考資料●MLリソース:抗真菌剤に纏めた。
【要約】
・経口アゾール系抗真菌薬ポサコナゾールが、重度免疫低下患者におけるカンジダおよびアスペルギルス感染の予防と、中咽頭カンジダ症の治療を適応としてFDAに承認された。
・本剤は、フルコナゾール耐性菌株に対して活性を持つほか、接合菌類に対しても優れた活性を持つことから、適応外使用される可能性がある。
・本剤は比較的忍容性がよい。
・ボリコナゾールやミカファンギンとの比較データはない。
●日本語版註)Posaconazole(Noxafil[Schering-Plough];)ポサコナゾール(ノキサフィル)
【別名】SCH 56592 【開発元】Schering-Plough 【化学名】4-[4-[4-[4-[[(3R,5R)-5-(2,4-difluorophenyl)tetrahydro-5-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)-3-furanyl]methoxy]phenyl]-1-piperazinyl]phenyl]-2-[(1S,2S)-1-ethyl-2-hydroxypropyl]-2,4-dihydro-3H-1,2,4-triazol-3-one ; C37H42F2N8O4 and a molecular weight of 700.8.
【承認〜侵襲性真菌感染症】FDA申請=Dec 21, 2005、FDA承認=Sep 18,2006 ; 【承認〜口腔咽頭カンジダ症】FDA申請=Dec 21, 2005、FDA承認=Oct 13,2006 ; 【製剤】NOXAFIL (posaconazole) Oral Suspension is available in 4-ounce (123 mL) amber glass bottles with child-resistant closures (NDC 0085-1328-01) containing 105 mL of suspension (40 mg of posaconazole per mL). Supplied with each bottle is a plastic dosing spoon calibrated for measuring 2.5-mL and 5-mL doses.
【適応】1)移植片対宿主病(GVHD)を発症した造血幹細胞移植(HSCT)患者や、化学療法により遷延性好中球減少症を生じた悪性血液疾患患者など、重度免疫機能障害により感染症発症リスクの高い13歳以上の患者さんの侵襲性アスペルギルスおよびカンジダ感染予防(防止)薬と 2)口腔咽頭カンジダ症(OPC)並びにイトラコナゾールおよび/またはフルコナゾールに対して難治性の口腔咽頭カンジダ症
1)NOXAFIL (posaconazole) Oral Suspension is indicated for prophylaxis of invasive Aspergillus and Candida infections in patients, 13 years of age and older, who are at high risk of developing these infections due to being severely immunocompromised, such as hematopoietic stem cell transplant (HSCT) recipients with graft-versus-host disease (GVHD) or those with hematologic malignancies with prolonged neutropenia from chemotherapy. 2)NOXAFIL (posaconazole) is indicated for the treatment of oropharyngeal candidiasis, including oropharyngeal candidiasis refractory to itraconazole and/or fluconazole
【用法用量】[侵襲性真菌感染症]1日3回200mg(5ml) [口腔咽頭カンジダ症]初日1日2回各100mg(2.5ml)、2〜13日迄1日1回。itraconazole/fluconazole抵抗例には400mg(10ml)を1日2回で、投薬期間は重症度による。 【作用】アゾール系抗真菌薬;エルゴステロール合成阻害 【特徴】アスペルギルス種により生じた侵襲性真菌感染症(IFIs)予防において、FDAに承認された初の、そして唯一の抗真菌薬
【製品情報】www.noxafil.com 【添付文書】Noxafil-PI 【提携】
【EU】2006.9.21 CHMPは口腔咽頭カンジダ症(OPC)で承認勧告。 NOXAFILは現在、EUおよびオーストラリアにおいて、一部の通常用いられる抗真菌薬では効果がない、あるいはこれらの抗真菌薬に不耐容の成人患者における特定の侵襲性真菌感染症(IFI)の治療薬として承認済み。 2006.11.9 侵襲性真菌感染症(IFIs)の発症リスクが高い患者さんに対する予防薬として承認。口腔咽頭ガンジダ症(OPC)に対する第一選択薬としても承認。
【日本】[シェリングプラウ]治験実施中(未承認薬使用問題検討会議[2007年1月22日開催])侵襲性真菌感染症
| ざ瘡治療薬ミノサイクリン徐放性製剤(Solodyn -Medicis) |
Extended-Release Minocycline (Solodyn) for Acne
FDAは、ミノサイクリンの徐放性製剤(Solodyn − Medicis;)を、中等度から重度の非結節性ざ瘡に対する1日1回投与の治療薬として承認した。 ミノサイクリンの速放性製剤(Minocin他;ミノマイシン[ワイス=武田])も含め、従来のテトラサイクリン系薬剤はざ瘡に対しては補助剤としての使用しか認められていなかった。
【日本語版コメント】
ざ瘡(Acne;ニキビ)は、患者調査により2002年度患者数は、L70ざ瘡<アクネ>111千人(1999年度117千人)そのうち尋常性各51千人、86千人。 欧米人と異なり日本人に重症患者は少ないとされる。 一般的な処置としては、食事療法、洗顔、抗菌剤を含む薬物療法。 原因の大きな部分としてアクネ菌(P.Acnes)があり、抗菌剤を使用する。 特にざ瘡専用の抗菌剤としてダラシンT(佐藤製薬)とアクアチム(大塚製薬)が医療用に販売されている。
ざ瘡についての抗菌剤は適切な解説があるので引用する。「平成16年9月,医療用医薬品再評価結果(厚生労働省医薬食品局)に基づき抗菌薬の適応菌種および適応症の表示記載方法の見直しが行われた。その結果,表記内容が一定していなかった抗菌薬の適応菌種,適応症が整理され,座瘡に関連する部分では,適応菌種は「アクネ菌」,適応症は「ざ瘡(イヒ膿性炎座を伴うもの)」として統一された。
従来は集族性座瘡あるいは座瘡の適応症をもっていた一部の経川抗菌薬では,読み替えにより適応がなくなり,その中にはミノサイクリン(以下MINO),ドキシサイクリン(以下DOXY)などのテトラサイクリン系薬,エリスロマイシン(以下EM).クラリスロマイシン(以下CAM)などのマクロライド系薬,クリンダマイシン(以下CLDM)といった座瘡の治療薬として繁用されている薬剤も含まれている。一方,適応症が残った経口抗菌薬はロキシスロマイシン(以下RXM)とβ−ラクタム系薬,ニューキノロン系薬の一部だが, RXM以外の薬剤は座瘡治療薬としての評価はあまり高いとはいえず,治療に使用されるケースもそれほど多くはない。
このように座瘡では,治療に繁用されている薬剤と適応症を有する薬剤が乖離する傾向が顕著に認められており,適応症に沿った薬剤選択が必ずしも最適ではないといった混乱を招いている。その原因と考えられるのが,座瘡における病態の特殊性で,感染症としての側面と炎症性疾患としての側面を有することが影響している。
一般的に抗菌薬の適正使用という場合には,適応菌種,適応症内で使用することが大原則となる。その結果我が国では,座瘡治療に使用できる経口抗菌薬はRXMとβ−ラクタム系薬,ニューキノロン系薬となった。
一方,欧米で座瘡治療に使用される主な経口抗菌薬はテトラサイクリン, DOXY, MINO, EMである≒その他にもアクネ菌に抗菌活性がある抗菌薬があるにもかかわらず,欧米でこれらの抗菌薬が使用される理由は,これらのテトラサイクリン系薬やマクロライド系薬は抗菌作用と抗炎症作用の両方を有するからである」(渡辺晋(帝京大・皮膚)、新薬と臨牀55(4)573-580,2006)
→詳細は参考資料●MLリソース:挫瘡,乾癬治療薬に纏めた。
【要約】
・ミノサイクリンの徐放性製剤が、中等度から重度の非結節性ざ瘡に対する1日1回投与の治療薬としてFDAに承認された。
・臨床試験ではプラセボを上回る改善効果を示しているが、従来の即放性ミノサイクリンとの比較データはない。
・ミノサイクリンは特に回転性めまいを引き起こしやすいが、即放性製剤よりも低用量を用いる本剤がその発生率を低下させるかどうかは不明。
●日本語版註)ミノサイクリンの徐放性製剤minocycline HCl An extended release tablet(Solodyn [Medicis])
【開発元】Medicis Pharmaceutical Corporation 【承認】FDA申請=Jun 30, 2005、FDA承認=May 8,2006 ; 【製剤】1錠中塩酸ミノサイクリンEQ 45MG,90MG,135MG BASE
【適応】中等度から重度の非結節性ざ瘡(treat only inflammatory lesions of non-nodular moderate to severe acne vulgaris in patients 12 years of age and older.) 【用法用量】1日1回1錠;1mg/Kgが適量 【作用】生物学的同等性は他のミノサイクリンと異なる 【特徴】1日1回としては初めての特許製剤
【製品情報】http://www.solodyn.com/ 【添付文書】Solodyn-PI 【EU】 【日本】未開発
【発行元】 株式会社メドレット 【編集人】 小菅 博之 【お問合せ】support@medmk.com 【メルマガ以前の号】 http://www.medmk.com/mm/mailmg/ 【メルマガ購読・中止】 http://www.medmk.com/mm/mailmg/mailmg_ty.htm 【メルマガ配信】 まぐまぐ [マガジンID: 0000200844] 【注 意】 Hotmailで受信される方は、Outlook Express/Outlook で御覧ください。 Hotmailでhtmlメルマガを受信する場合、一部不具合が発生し、この本レポートの 場合も正常表示されません。 他のメールアカウントに転送してもokです。 ●「The Medical Letter日本語版」本誌読者ヘ なお、このメルマガの宛名末尾にある xxxx-xxxxxxxx という数字は、あなたのWEB ID-Passwordです。[購読者用] 本メルマガは読者のうちメールアドレスをご登録頂いているには原則として配信 しています。 既刊分 →http://www.medmk.com/mm/mailmg/
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