MLリソース:β遮断剤







 日本語版註)  ;【別名】 ;【開発元】 [DBR_ID] ;【化学名】 FDA申請=、FDA承認= ;【適応】 【製品情報】 【添付文書】 【その他】


【日本語版コメント to 1097】
 β遮断剤の使用は、日本では、大半が高血圧、あと狭心症と不整脈。
 しかし日本でFirst choiceとして使われるケースは少ない。 欧米では高血圧,虚血性心疾患,心不全に繁用されていると対照的。
【市場】
 日本では、1999年度のβ遮断剤の市場規模(メーカー売上)は約312億円。
メインテート錠[田辺] 98億円 90.11発売 ビソプロロール 高血圧、狭心症、期外収縮
アーチスト錠[第一]    58 93.5 カルベジロール 高血圧、狭心症
ケルロング錠[三菱東京]  57 93.1 ベタキソロール 高血圧、狭心症
セレクトール錠[日本新薬] 52 92.9 セリプロロール 高血圧、狭心症
サンドノーム錠[ノバルティス] 25 93.6 ボピンドロール 高血圧
(「医薬イヤーブック:2001:新薬市場とR&Dの動向」(月刊ミクス増刊,01.2.25)184p)
【開発中の新薬】
【解説資料】
β遮断剤には、心臓のβ受容体を遮断することで交感神経の刺激を少なくし、心拍数を減らしたり心臓の収縮を適度に抑える作用があります。その結果、心臓が送り出す血液の圧力が弱くなるので、血圧も下がることになります。ただ、それだけでは説明できない部分があり、その降圧作用のメカニズムにプロスタグランジン(ホルモンの一種)への関与も示唆されています。●β遮断剤の目次と解説(おくすり110番)
  β遮断薬は,欧米では予後改善のevidenceの確立した薬剤として,高血圧,虚血性心疾患,心不全に繁用されている。一方,日本では副作用や適応上の制限などから,“専門医でないと使いにくい薬”というイメージがあり,欧米におけるβ遮断薬の位置付けとは大きな相違が生じている。特に心不全に関しては最近,US C-HF,CIBIS-II,MERIT-HFなどの試験で全死亡,突然死,心不全症状の増悪のいずれもが著明に改善されており,依然としてβ遮断薬の使用が禁忌である日本とのギャップは大きい。本特別企画では,日本医科大学第一内科講師の清野精彦氏にインタビューを行い,種々の病態におけるβ遮断薬のevidenceを整理していただき,これをどのように評価し,日本での臨床に反映させていくべきか,考察していただいた。●特別企画 β-Blocker Therapy Update[Medical Tribune 2000年1月20日 (VOL.33 NO.3) p.24]
MEDLINEplus:Beta-Adrenergic Blocking Agents (Systemic)
Inotropes in the Beta-Blocker Era[2000]
【疫学資料】
【臨床ガイドライン】
【ニュース・トピックス】
【リソース・オンライン雑誌】
【主要サイト】







●製品










●解説

β遮断剤の目次と解説(おくすり110番)


β1非選択
β1選択

< 概 説 >
β遮断剤には、心臓の働きを適度に低下させ、血圧を下げる作用があります。カルシウム拮抗剤やACE阻害剤と共に、高血圧症の治療に広く使用されているほか、狭心症や不整脈の治療にも適応します。米国での大規模な疫学的調査においても、β遮断剤を使用している高血圧や狭心症の人では死亡率が下がるなど有用性が確かめられています。ベータブロッカーと呼ばれることもあります。

ところで、私たちが、怒ったり、緊張したり、あるいは運動をすると、心臓の収縮が強まり心拍数も増えて、血圧も上がります。これは、交感神経が、心臓にあるβ受容体という受信器を刺激することで起こる自然な現象です。逆に考えると、交感神経の心臓への刺激を弱めれば、血圧が下がることになります。
β遮断剤には、心臓のβ受容体を遮断することで交感神経の刺激を少なくし、心拍数を減らしたり心臓の収縮を適度に抑える作用があります。その結果、心臓が送り出す血液の圧力が弱くなるので、血圧も下がることになります。ただ、それだけでは説明できない部分があり、その降圧作用のメカニズムにプロスタグランジン(ホルモンの一種)への関与も示唆されています。

効能は、製剤により異なりますが、主に次のような病気に使用されます。
    高血圧症...β受容体を遮断することで、心拍数を減らしたり心臓の収縮を適度に抑えます(β遮断作用)。その結果、心臓が送り出す血液の血管に対する圧力が弱くなるので、血圧も下がります。しかし、主な降圧作用は別にあるとされ、プロスタグランジンへの関与も示唆されています。
    狭心症...心拍数を減らし心臓を休ませまることで、心筋の酸素消費を低下させます。頻脈を伴う狭心症や労作性狭心症(階段の上り、運動で起こる狭心症)に適します。
    不整脈...心筋の興奮を鎮め、早すぎる脈を遅らせ正常にします(クラスU)。
    甲状腺機能亢進症(応用)...甲状腺機能亢進症(バセドウ病)における頻脈、手や指の震えなどの症状をやわらげます。
    心不全(応用)...心臓の働きを抑えるので、基本的には禁忌ですが、心臓を休ませるという意味で、頻脈を伴う心筋症や拡張型心筋症など特殊な心不全の治療に試みられることがあります。専門医により、ごく少量から慎重に始めます。
    その他...一部の薬剤(ISA-)は、偏頭痛の予防に使用することがあるかもしれません。また、αβ遮断剤(別項の一部)には、本態性振戦(手の震え)に適応を持つものがあります。
    海外では、高血圧とは関係なく、「あがり止め」、「落ち着き薬」としても使用されることもあるようですが、単に心臓のドキドキを止めるだけであり、緊張そのものを取るとは言えません。健康な人が服用した場合、かえってめまい・フラフラ感が現れ調子がおかしくなることも考えられますから、ご注意ください。
 

高血圧症の治療では、2〜3種類の薬を併用することがよくあります。β遮断剤と相性がよいのは、α遮断剤です。併用により効果が高まるほか、お互いの副作用を打ち消すこともします。
そのほか、血圧が下がりすぎない範囲で、利尿剤やカルシウム拮抗剤と併用することもあります。ただ、カルシウム拮抗剤のうち塩酸ジルチアゼム(ヘルベッサー)、塩酸ベラパミル(ワソラン)などでは、除脈や心不全が起こりやすくなるので注意します。

妊娠中の人は基本的には使用できませんので、妊娠中の人、また服用中に妊娠されたときは医師に報告するようにしてください(医師の判断で頻脈を伴う重い妊娠高血圧症に使用されることが、あるかもしれません)。
また、手術の予定があるときも、事前に医師に伝えておきましょう。これは、麻酔薬との相互作用で術中に徐脈が起きやすいためです。

< 副作用 >副作用は各製剤でかなり異なりますが、一般的に注意するのは、心臓の働きが悪くなったり(心不全)、脈が遅くなることです(徐脈)。脈が1分間に50以下になったり、息苦しさ、強いめまい・ふらつきが起きたら、受診されてください。特に、高齢の人は要注意です。また、まれに喘息のような症状が見られたり、手足の冷え・痛みが現れることもあります。
多くはありませんが、特異な副作用として、悪夢や幻覚・幻聴(非現実の物が見える、聞こえる)があります。これは、油に溶けやすい性質の一部の薬でみられ、脳に入りこんでいろいろな精神症状をもたらすためです。悪い夢や幻聴が薬の副作用だと知って、ホッとする患者様もいらっしゃいます。
    心不全、除脈、低血圧...脈が異常に少い(50以下)、胸の痛み、息苦しい、むくみ、ふらつき・めまい・立ちくらみ。
    喘息のような症状...ゼーゼーする。
    レイノー症状...手足の冷え、痛み。
    涙液分泌減少...目が乾燥しゴロゴロする、しょぼしょぼする、目がかすむ。ひどいときは、角膜潰瘍の原因にもなりかねないので医師に報告します。
    悪夢や幻覚・幻聴...今まで見たこともないような悪い夢、こわい夢を見る。非現実の物が見えたり、聞こえる。他の親水性のβ遮断薬に変更すれば、なくなります。 中性脂肪増加、血糖値への影響など。
 

< 分類 >β遮断剤は、各薬品で異なる性質を持っており、次のように多面的に分類されます。病態、合併症、併用薬などを考慮し、適切に選択されることになります。
    β1選択性...心臓のβ1受容体を選択的に遮断し、気管支にあるβ2受容体に対しては影響が少なくなります。したがって喘息の副作用はやや少なくなると考えられます。ちなみにβ1非選択性の薬剤は、喘息の人には使用できません(β1選択性のものも、原則的には使用しません)。またβ1選択性では、耐糖能への悪影響も少なくなります。
    内因性交感神経刺激作用(ISA+)...交感神経の刺激作用が強いときは、これを抑えますが、交感神経の働きが弱いときは、逆にβ受容体を多少刺激します。このメカニズムにより、β遮断剤に見られる心不全、除脈、手足の冷えなどの副作用を防止する可能性があります。また、脂質代謝への悪い影響も少ないとされます。
    一方で、筋肉痛やこむら返り、一過性の血圧上昇などがみられることもあります。また、ISAによる心刺激作用は、頻脈や心筋梗塞に対しては好ましくない作用になってしまうとも考えられます。
    膜安定化作用(MSA+)...心筋の興奮を鎮め、脈を安定させる作用を持ちます。
    親油性...血液-脳関門を通過し、脳に入りやす性質があります。悪夢や幻覚・幻聴、不眠、気分が落込む、性欲がなくなるなどの精神的な副作用が現れることがあります。また主に肝臓で代謝されるので、肝臓病の人では、慎重に使用されます。発売の古い薬の多くが含まれます。
    親水性...血液-脳関門を通過しませんので精神的な副作用は少なくなります。肝臓で代謝を受けず、腎臓から直接排泄される部分が多いので、腎臓病の人では、慎重に使用されます。
    各 薬 品
    
     
    【β1非選択】
    
      塩酸チリソロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(long)(高・狭)/塩酸チリソロール 製品例: ダイム錠10~20(マルホ)、セレカル錠10~20(富山) ナドロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(long)(高・脈・狭)/ナドロール 製品例: ナディック錠30mg~60mg(大日本) ニプラジロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(Nitro)(高・狭)/ニプラジロール 製品例: ハイパジールコーワ錠~6(興和) マレイン酸チモロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(高・脈・狭)/マレイン酸チモロール 製品例: ブロカドレン錠(萬有・杏林) 塩酸ブクモロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(脈・狭)/塩酸ブクモロール 製品例: ブクマロール錠5mg~10mg(三共) 塩酸ブフェトロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(脈・狭)/塩酸ブフェトロール 製品例: アドビオール錠(吉富) 塩酸ブプラノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(MSA)(狭)/塩酸ブプラノロール 製品例: ルーサー(科研) 塩酸プロプラノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(MSA)(高・狭)/塩酸プロプラノロール徐放剤 製品例: インデラル錠10mg~20mg、インデラルLA(ゼネカ) ピンドロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(高・脈・狭)/ピンドロール 製品例: カルビスケン錠1mg~5mg、カルビスケン-R(ノバルティス) 塩酸カルテオロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(高・脈・狭)/塩酸カルテオロール徐放剤 製品例: ミケラン錠5mg、ミケランLA、ミケラン細粒、小児用ミケラン500倍細粒(大塚製薬) 塩酸アルプレノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(脈・狭)/塩酸アルプレノロール 製品例: アプロバールカプセル~50mg(藤沢) マロン酸ボピンドロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(MSA)(pro)(long)(高)/マロン酸ボピンドロール 製品例: サンドノーム錠0.5mg~1mg(ノバルティス) 硫酸ペンブトロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(MSA)(高)/硫酸ペンブトロール 製品例: ベータプレシン10mg~20mg錠(HMR) 塩酸インデノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(MSA)(高・脈・狭)/塩酸インデノロール 製品例: プルサン錠10mg~20mg~30mg(山之内) 塩酸オクスプレノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1非選択/(ISA)(MSA)(脈・狭)/塩酸オクスプレノロール 製品例: トラサコール錠(ノバルティス)
      【β1選択】
      塩酸ベタキソロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(Ca)(long)(高・狭)/塩酸ベタキソロール 製品例: ケルロング錠5mg~10mg(三菱化学/吉富) 塩酸ベバントロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(Ca)(α)(高)/塩酸ベバントロール 製品例: カルバン錠25~50~100(ケミファ・鳥居) アテノロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(long)(高・脈・狭)/アテノロール 製品例: テノーミン(ゼネカ) フマル酸ビソプロロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(高・脈・狭)/フマル酸ビソプロロール 製品例: メインテート錠2.5~5(田辺製薬) 酒石酸メトプロロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(高・脈・狭)/酒石酸メトプロロール 製品例: セロケン錠20mg~40mg、セロケンL錠(藤沢)、ロプレソール錠20mg~40mg、ロプレソールSR錠(ノバルティス) 塩酸セリプロロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(ISA)(long)(高・狭)/塩酸セリプロロール 製品例: セレクトール錠100mg~200mg(日本新薬) 塩酸アセブトロール 区分  : 循環器1(高血圧の薬)/β遮断剤/β1選択/(ISA)(MSA)(高・脈・狭)/塩酸アセブトロール 製品例: アセタノールカプセル100~200(RPR/中外)、セクトラール100~200(鐘紡=わかもと)







    MEDLINEplus:Beta-Adrenergic Blocking Agents (Systemic)

    ●Category
    Antiadrenergic--Acebutolol; Atenolol; Betaxolol; Carteolol; Labetalol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Penbutolol; Pindolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Antianginal--Acebutolol; Atenolol; Carteolol; Labetalol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Penbutolol; Pindolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Antianxiety therapy adjunct--Acebutolol; Metoprolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Antiarrhythmic--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Antiglaucoma agent, systemic--Timolol
    Antihypertensive--Acebutolol; Atenolol; Betaxolol; Bisoprolol; Carteolol; Labetalol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Penbutolol; Pindolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Antitremor agent--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Pindolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Hypertrophic cardiomyopathy therapy adjunct--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Pindolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Myocardial infarction prophylactic--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Myocardial infarction therapy--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Neuroleptic-induced akathisia therapy--Betaxolol; Metoprolol; Nadolol; Propranolol
    Pheochromocytoma therapy adjunct--Acebutolol; Atenolol; Labetalol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Thyrotoxicosis therapy adjunct--Acebutolol; Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Oxprenolol; Propranolol; Sotalol; Timolol
    Vascular headache prophylactic--Atenolol; Metoprolol; Nadolol; Propranolol; Timolol
    
    ●Proper Use of This Medicine 
    Dosingの項に各薬剤別に適応症別用量の記述
    










    ●データ

    主要製品の年間売上高[日本]

    製品[会社名]		99年	発売	成分		コメント
    --------------------------------------------------------------------------------
    (212 抗不整脈剤)
    ソタコール錠[BMS]	1<	99.1	塩酸ソタロール	再発性不整脈
    ----------------------------------------
    	sub-T		(1)
    (214 β遮断剤)
    メインテート錠[田辺]	98	90.11	ビソプロロール	高血圧、狭心症、期外収縮
    ダイム錠[日清-マルホ]	1<	92.6	塩酸チリソロール	高血圧、狭心症
    セレカル錠[富山化学]	2	92.6	塩酸チリソロール	高血圧、狭心症
    セレクトール錠[日本新薬]	52	92.9	セリプロロール	高血圧、狭心症
    ケルロング錠[三菱東京]	57	93.1	ベタキソロール	高血圧、狭心症
    サンドノーム錠[ノバルティス]	25	93.6	ボピンドロール	高血圧
    ----------------------------------------
    	sub-T		(235)
    (214 αβ遮断剤)
    カルバン錠[日本ケミファ]	12	95.6	ベバントロール	高血圧
    カルバン錠[鳥居]	 6	95.6	ベバントロール	高血圧
    レバジル錠[シェリングプラウ]	 -	89.12	ジレバロール	高血圧[90.8中止]
    ジレバロン錠[塩野義]	 -	89.12	ジレバロール	高血圧[90.8中止]
    アーチスト錠[第一]	58	93.5	カルベジロール	高血圧、狭心症
    ----------------------------------------
    	sub-T		(76)
    --------------------------------------------------------------------------
    	合計		(312)
    註1)売上は1999年間売上高、単位億円。 出典:「医薬イヤーブック:2001:新薬市場とR&Dの動向」(月刊ミクス増刊,01.2.25)184p
    
    
    
    ●主要β遮断剤

    /2006.8.13
    製品組成適応症用法用量発売備考
    ●β1非選択性 ISA(-)
    インデラルLA
    [販売元/アストラゼネカ株式会社 製造販売元/大日本住友製薬株式会社]
    1カプセル中塩酸プロプラノロール60mg[徐放性]1)本態性高血圧症(軽症〜中等症) 2)狭心症塩酸プロプラノロールとして1日60mg未満の経口投与で効果が不十分な場合に、下記の用法・用量に基づき使用する。 1)本態性高血圧症(軽症〜中等症)に使用する場合は、通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。なお、症状により1日1回2カプセルまで増量することができる。 2)狭心症に使用する場合は、通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。1985年2月
    インデラル錠10mg,20mg
    [販売元/アストラゼネカ株式会社 製造販売元/大日本住友製薬株式会社]
    1錠中塩酸プロプラノロール10mg,20mg1)本態性高血圧症(軽症〜中等症) 2)狭心症 3)期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防 4)褐色細胞腫手術時1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症)に使用する場合、通常成人には塩酸プロプラノロールとして1日30〜60mgより投与をはじめ、効果不十分な場合は120mgまで漸増し、1日3回に分割経口投与する。 2. 狭心症、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防、褐色細胞腫手術時に使用する場合、通常成人には塩酸プロプラノロールとして1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。1966年10月(10mg)
    1968年2月(20mg)
    ナディック錠30mg,60mg
    [製造販売元/大日本住友製薬株式会社]
    1錠中ナドロール30mg,60mg本態性高血圧症(軽症〜中等症),狭心症,頻脈性不整脈ナドロールとして,通常成人に1回30〜60mgを1日1回経口投与する.1986年3月
    ハイパジールコーワ錠3,6
    [製造販売元/興和株式会社]
    1錠中 ニプラジロール 3mg,6mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症通常成人にはニプラジロールとして、1日6〜12mgを1日2回に分割経口投与する[最高用量は1日18mg]。1990年9月[6mg]
    2001年7月[3mg]
    セレカル錠10,20
    [発売/大正富山医薬品株式会社 製造販売/富山化学工業株式会社]
    1錠中塩酸チリソロール10mg,20mg本態性高血圧症(軽症〜中等症) 、狭心症本態性高血圧症(軽症〜中等症);通常、成人には塩酸チリソロールとして1日1回10mg〜20mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、効果不十分な場合は1日1回30mgまで増量できる。 狭心症:通常、成人には塩酸チリソロールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日投与量は最高30mgまでとする。1992年6月
    ●β1非選択性 ISA(+)
    カルビスケン錠5mg
    [製造販売元/アルフレッサファーマ株式会社]
    1錠中「日本薬局方」ピンドロール5mg1)本態性高血圧症(軽症〜中等症) 2)狭心症 3)洞性頻脈1)本態性高血圧症(軽症〜中等症) 通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回投与する。 2)狭心症 通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回投与する。効果が不十分な場合は1日量30mgまで増量する。なお、年齢・症状に応じ適宜増減する。  3)洞性頻脈 通常成人にはピンドロールとして1回1〜5mgを1日3回投与する。1973年1月
    サンドノーム錠0.5mg,1mg
    [製造販売/ノバルティスファーマ株式会社]
    1錠中マロン酸ボピンドロール0.6365mg(ボピンドロールとして0.5mg)又は1.273mg(ボピンドロールとして1mg)本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人にはボピンドロールとして1mgを1日1回経口投与する。1993年6月
    ベータプレシン10mg,20mg錠
    [製造販売/サノフィ・アベンティス株式会社]
    1錠中日局硫酸ペンブトロール 10mg,20mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人には硫酸ペンブトロールとして、1日20mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日40mgまで増量し、1日2回(朝食後及び夕食後)に分割経口投与する。1988年3月
    ミケラン錠5mg
    [製造販売元/大塚製薬株式会社]
    1錠中塩酸カルテオロール5mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)、心臓神経症、不整脈(洞性頻脈、頻脈型不整脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)、狭心症通常、成人には塩酸カルテオロールとして、1日10〜15mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合には30mgまで漸増し、1日2〜3回に分割経口投与する。1980年12月
    ミケランLA
    [製造販売元/大塚製薬株式会社]
    1カプセル中塩酸カルテオロール15mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人には1日1カプセル(塩酸カルテオロールとして15mg)を朝食後に経口投与する。なお、効果が不十分な場合には1日1回2カプセル(塩酸カルテオロールとして30mg)まで増量することができる。1990年4月
    ミケランLAカプセル15mg
    [製造販売元/大塚製薬株式会社]
    1カプセル中塩酸カルテオロール15mg。本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人には1日1カプセルを朝食後に経口投与。1990年4月
    ●β1選択性 ISA(-)
    カルバン錠25,50,100
    [販売元/鳥居薬品株式会社 製造販売元/日本ケミファ株式会社]
    1錠中塩酸ベバントロールを25mg,50mg,100mg高血圧症通常、成人には塩酸ベバントロールとして1日100mgを1日2回に分割経口投与し、効果が不十分な場合は1日200mgまで増量できる。1995年6月α1β1遮断剤
    カルバン錠25,50,100
    [製造販売元/日本ケミファ株式会社]
    ケルロング錠5mg,10mg
    [製造販売元/三菱ウェルファーマ株式会社 提携/sanofiaventis]
    1錠中塩酸ベタキソロール 5mg,10mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症本態性高血圧症(軽症〜中等症)〜通常,成人には塩酸ベタキソロールとして5〜10mgを1日1回経口投与する(最高用量は1日1回20mgまで). 腎実質性高血圧症〜通常,成人には塩酸ベタキソロールとして5mgを1日1回経口投与する(最高用量は1日1回10mgまで)。  狭心症〜通常,成人には塩酸ベタキソロールとして10mgを1日1回経口投与する(最高用量は1日1回20mgまで).1993年1月
    セロケンL錠120mg
    [製造販売元/アストラゼネカ株式会社]
    1錠中酒石酸メトプロロール120mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人には1日1回1錠を朝食後経口投与。1992年5月
    セロケンL錠
    [製造販売元/アストラゼネカ株式会社]
    1錠中酒石酸メトプロロール120mg[徐放錠]本態性高血圧症(軽症〜中等症) 通常、成人には1日1回1錠(酒石酸メトプロロールとして120mg)を朝食後経口投与する。1992年5月
    ロプレソールSR錠
    [製造販売/ノバルティスファーマ株式会社]
    セロケン錠20mg,40mg
    [製造販売元/アストラゼネカ株式会社]
    1錠中酒石酸メトプロロール20mg,40mg○本態性高血圧症(軽症〜中等症) ○狭心症 ○頻脈性不整脈○本態性高血圧症(軽症〜中等症) 〜通常、成人には酒石酸メトプロロールとして1日60〜120mgを1日3回に分割経口投与する。効果不十分な場合は240mgまで増量することができる。 ○狭心症、頻脈性不整脈〜通常、成人には酒石酸メトプロロールとして1日60〜120mgを1日2〜3回に分割経口投与する。1983年2月
    ロプレソール錠20mg,40mg
    [製造販売/ノバルティスファーマ株式会社]
    テノーミン錠25,50
    [販売元/アストラゼネカ株式会社 製造販売元/大日本住友製薬株式会社]
    1錠中アテノロール25mg,50mg1)本態性高血圧症(軽症〜中等症) 2)狭心症 3)頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮) 通常成人にはアテノロールとして50mgを1日1回経口投与する。最高量は1日1回100mgまでとする。1984年3月(50)
    1987年11月(25)
    メインテート錠2.5,5
    [製造販売元/田辺製薬株式会社]
    1錠中フマル酸ビソプロロール 2.5mg,5mg1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症) 2. 狭心症 3. 心室性期外収縮通常、成人にはフマル酸ビソプロロールとして、5mgを1日1回経口投与する。1990年11月
    ●β1選択性 ISA(+)
    アセタノールカプセル100,200
    [製造販売元/サノフィ・アベンティス株式会社 販売/中外製薬株式会社]
    1カプセル中日局塩酸アセブトロール111.0mg(アセブトロールとして100mg)又は222mg(200mg) 1)本態性高血圧症(軽症〜中等症)2)狭心症 3)頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮、発作性上室性頻拍、新鮮心房細動、除細動後の洞調律の維持)【本態性高血圧症】通常、成人には1日200〜400mgを1回ないし2回に分けて経口投与。、【狭心症、頻脈性不整脈】通常、成人には1日300〜600mgを3回に分けて食後に経口投与。1981年9月(100)
    1984年3月(200)
    セクトラール100,200
    [製造販売元/日本オルガノン株式会社 提携/アベンティスファーマ株式会社]
    1981年9月(100)
    1984年3月(200)
    セクトラール100,200
    [製造販売元/日本オルガノン株式会社 提携/アベンティスファーマ株式会社]
    1カプセル中塩酸アセブトロール(日局)アセブトロールとして 100mg,200mg○本態性高血圧症 (軽症〜中等症)  ○狭心症 ○頻脈性不整脈 (洞性頻脈、期外収縮、発作性上室性頻拍、新鮮心房細動、除細動後の洞調律の維持) ○本態性高血圧症 (軽症〜中等症) 、通常、成人にはアセブトロールとして、1日200〜400mgを1回ないし2回に分けて経口投与する。 ○狭心症○頻脈性不整脈 (洞性頻脈、期外収縮、発作性上室性頻拍、新鮮心房細動、除細動後の洞調律の維持) 、通常、成人にはアセブトロールとして、1日300〜600mgを3回に分けて食後に経口投与する。1981年9月(100)
    1984年3月(200)
    セレクトール錠100mg,200mg
    [製造販売元/日本新薬株式会社]
    1錠中塩酸セリプロロール 100mg,200mg 1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症 2. 狭心症1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症〜通常、成人には塩酸セリプロロールとして1日1回 100〜200mg を食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は 400mg とする。 2. 狭心症〜通常、成人には塩酸セリプロロールとして1日1回200mgを食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は400mg とする。1992年9月
    ●αβブロッカー
    アーチスト錠1.25mg,2.5mg,10mg,20mg
    [製造販売元/第一製薬株式会社]
    1錠中カルベジロール1.25mg,2.5mg,10mg,20mg(1)本態性高血圧症(軽症〜中等症)、(2)腎実質性高血圧症、(3)狭心症、(4)次の状態で,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,利尿薬,ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者:虚血性心疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全【本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症】通常,成人1回10〜20mgを1日1回経口投与。、【狭心症】通常,成人1回20mgを1日1回経口投与。、【虚血性心疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全】通常,成人1回1.25mg,1日2回食後経口投与から開始する。1回1.25mg,1日2回の用量に忍容性がある場合には,1週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量し,忍容性がない場合は減量する。いずれの用量においても,1日2回食後経口投与とする。通常,維持量として1回2.5〜10mgを1日2回食後経口投与する。2002年12月(1.25mg,2.5mg)、1993年5月(10mg,20mg)
    アルマール錠5,10
    [製造販売元/大日本住友製薬株式会社]
    1錠中塩酸アロチノロール 5mg,10mg本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症、頻脈性不整脈、本態性振戦本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症、頻脈性不整脈の場合〜通常、成人には塩酸アロチノロールとして、1日20mgを2回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状等により適宜増減することとするが、効果不十分な場合は、1日30mgまで増量することができる。 本態性振戦の場合〜通常、成人には塩酸アロチノロールとして、1日量10mgから開始し、効果不十分な場合は、1日20mgを維持量として2回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状等により適宜増減するが1日30mgを超えないこととする。1985年12月
    トランデート錠50mg,100mg
    [グラクソ・スミスクライン株式会社]
    1錠中塩酸ラベタロール50mg,100mg本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症通常、成人には塩酸ラベタロールとして1日150mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日450mgまで漸増し、1日3回に分割、経口投与する。1983年2月
    トランデート錠50mg,100mg
    [製造販売元/グラクソ・スミスクライン株式会社 販売/武田薬品工業株式会社]
    ローガン錠10mg,20mg
    [製造販売/アステラス製薬株式会社]
    1錠中塩酸アモスラロール10mg,20mg1)本態性高血圧症 2)褐色細胞腫による高血圧症通常成人には塩酸アモスラロールとして1日20mgより投与を開始し、効果不十分な場合は1日60mgまで漸増し、1日2回に分割、経口投与する。1988年7月(10mg)
    1992年7月(20mg)

    []











    ●臨床ガイドラインなど
    
    
    
    










    ●総説記事・文献

    特別企画 β-Blocker Therapy Update

    [2000年1月20日 (VOL.33 NO.3) p.24]

    K. Fred Gey氏
      β遮断薬は,欧米では予後改善のevidenceの確立した薬剤として,高血圧,虚血性心疾患,心不全に繁用されている。一方,日本では副作用や適応上の制限などから,“専門医でないと使いにくい薬”というイメージがあり,欧米におけるβ遮断薬の位置付けとは大きな相違が生じている。特に心不全に関しては最近,US C-HF,CIBIS-II,MERIT-HFなどの試験で全死亡,突然死,心不全症状の増悪のいずれもが著明に改善されており,依然としてβ遮断薬の使用が禁忌である日本とのギャップは大きい。本特別企画では,日本医科大学第一内科講師の清野精彦氏にインタビューを行い,種々の病態におけるβ遮断薬のevidenceを整理していただき,これをどのように評価し,日本での臨床に反映させていくべきか,考察していただいた。

    1 β遮断薬と心筋梗塞

    β1選択性でISA(-),MSA(-)の薬剤が心筋梗塞の一次,二次予防に有用

     β遮断薬は,心筋梗塞の一次,二次予防に関して,欧米の大規模臨床試験によって予後改善効果が証明されている。一次予防に関しては1980年代から多くのスタディがあるが,特に有名なのは高血圧症患者にメトプロロールを使ったMAPHY Study (1988)で,β遮断薬が冠動脈疾患発症と死亡数を利尿薬に比して有意に低下させた。二次予防ではBHAT Study(1982)がある。これは,プロプラノロールで心筋梗塞既往例の死亡率が有意に減少することを,プラセボ比較対照試験によって確認している。

    図1
     こうしたβ遮断薬の効果について種々のメタアナリシスが行われており,副次的薬理作用の特徴が研究されている。Sorianoらのメタアナリシス(Prog Cardiovasc Dis, 1997)では,心筋梗塞の二次予防に関しては(1)β1選択性はある方がよい,(2)ISA(内因性交感神経刺激作用)はない方がよい,(3)MSA(膜安定化作用)はない方がよいと報告されている。この分析からは,β1選択性で,ISAおよびMSAはともに(-)のメトプロロール,アテノロール,ベタキソロールなどが理想的な β遮断薬ということになる。心筋梗塞の一次,二次予防に関しては,心拍数を抑える薬剤の方が有効であるといえよう。

     これまでβ遮断薬は,心筋梗塞後の場合,高齢者,慢性閉塞性肺疾患や糖尿病の合併例,心機能低下例などでは使いにくいと考えられてきた。しかしGottliebらは1998年,そうした症例におけるβ遮断薬の効果を検討し,高リスク症例でも適切な選択により通常症例と同等の長期予後改善効果が認められることを報告した(図 1)。ACC/AHAのガイドラインでは,急性期(中等症以上の左心不全を除く)や慢性期(高リスク群)の心筋梗塞症例に対するβ遮断薬の適応が明示されている。日本ではこの点についてまだ消極的で,意識改革の必要があると思われる。

     ただし,低心機能症例にβ遮断薬を使う場合,低用量から慎重に使っていくことを忘れてはならない。

    糖尿病合併例でのβ遮断薬;β1選択性であれば適応を考慮すべき

     急性心筋梗塞患者には糖尿病合併例が多く,我々の調査では日本人でも 3〜4 割に上る。糖尿病合併例におけるβ遮断薬の使用に関しては,β2受容体の遮断から低血糖を遷延させる点で注意を要するとされてきた。ところが近年,糖尿病を合併した高リスク冠疾患例におけるβ遮断薬投与の有無で予後を比較する検討が行われ,投与群で生存率が改善したという成績が得られた(BIP Subanalysis, 1996)。

     1998年に発表されたUKPDSのサブスタディ(UKPDS 39)からも,糖尿病例に降圧薬として用いたカプトプリルとβ1選択性のアテノロールの間で,低血糖を含む合併症の頻度に差がなく,両薬剤とも同様に血管系合併症を防止したことが報告された。β1選択性の薬剤であれば,糖尿病合併例でも積極的に適応を考慮すべきだとの考え方が主流となりつつある。

    β遮断薬と心不全
    心不全例で突然死と心不全増悪を防ぎ,予後を改善

    図2 図3
     日本では,心不全に対するβ遮断薬の使用は添付文書上は禁忌とされている。しかし最近,慢性心不全,特に治療抵抗性の症例での使用は一般的なコンセンサスとなりつつあるようだ。欧米では,メトプロロールを用いたMDC,最近ではUS Carvedilol-HF Study,ビソプロロールのCIBIS-II,メトプロロールのMERIT-HFなど多数のスタディが発表され,その予後改善効果を図2にまとめた。特にMERIT-HFなど最近のスタディでは,比較的軽症の心不全の予後をも改善している。その機序として,心不全増悪の防止とともに突然死の減少が確認されているが,心不全における β遮断薬の適応を考える上できわめて重要と思われる。

     図 3 は,心不全に対する二重盲検試験の成績を,心拍数の変化から分析したものである。慢性心不全患者でも,心拍数を減らす薬剤が死亡率を低下させていることが明らかである。われわれのこの分析からは,急性心筋梗塞の二次予防と同様,慢性心不全でもISA(-)でβ1選択性のβ遮断薬が好ましいという推測が可能になるが,これは今後のスタディで確認されるべき問題であろう。

    BETACAR Studyはベタキソロールとカルベジロールを比較

    図4図5
     一方,慢性心不全で注目されるβ遮断薬の副次的作用の一つは血管拡張作用である。Doughtyらの心不全に対するβ遮断薬の二重盲検試験のメタアナリシスでは,メトプロロールやビソプロロールなど血管拡張作用のないβ遮断薬のオッズ比は0.82,カルベジロールなど血管拡張作用のある薬剤のオッズ比は0.53と,血管拡張作用を有するβ遮断薬の予後改善効果が高いことが示された(図 4)。

     反面,心不全例でカルベジロールとメトプロロールを比べたKukinらの報告(Circulation, 1999)では,症状や運動耐容能,心機能,抗酸化作用などで差はみられなかった。血管拡張作用の意義や,カルベジロールの特徴とされる抗酸化作用をめぐる評価は,まだ確立されているわけではないと思われる。さらに,非選択性,ISA(+)で血管拡張作用を有するブシンドロールを用いたBEST試験では,心不全患者の死亡率は改善されなかったことが1999年のAHAで報告された。

     こうした点から,ベタキソロールすなわち血管拡張作用を有しβ1選択性の高い β遮断薬と,カルベジロールつまり血管拡張作用は持つがβ1選択性のないβ遮断薬を比較する目的で,BETACAR Studyが欧州で開始された(図 5)。この試験は,NYHA分類II/III度の心不全患者に32週間のβ遮断薬投与を行って,心機能の変化や運動耐容能を比較する試験だが,β遮断薬の副次的作用として何(特にβ1選択性)が重要なのかを探る意味で注目されている。ベタキソロールに関しては,心不全症例の運動耐容能が改善したとの成績が日本の施設から複数報告されており,カルベジロールとの比較試験でどんな成績がでるか興味深い。

     こうしたevidenceの集積から,日本でも循環器専門医は,心不全症例で積極的にβ遮断薬を使うようになった。しかしそこで問題となるのが剤形である。心不全のβ遮断薬療法は,通常,高血圧の常用量の1/8〜1/4で開始し,1〜2 週間おきに増量して常用量までもっていく。ところが,そうした投与法に適した剤形( 1 錠あたりの薬物量が少ないもの)がない点は改善を要望したい。

    β遮断薬と強心薬の併用で,重症心不全の予後を改善

     一昨年,強心薬エノキシモンとメトプロロールの併用で,β遮断薬導入早期の収縮力低下などを予防しようというShakerらの成績(J Am Coll Cardiol, 1998)が報告された。NYHA分類IV度の重症心不全例に対し,まず強心薬を使い,その後β遮断薬を少量から使っていくと,β遮断薬による心不全増悪が防止できる。こうした方法をとると,心機能は改善,再入院は減少し,生存率も良好であったという成績である。この結果は,心臓移植の適応となるような重症心不全症例におけるβ遮断薬と強心薬の併用の可能性を示唆した,意義深いものと思われる。

     我々もピモベンダンとβ遮断薬の併用を高度心機能低下例で試みており,心機能が改善し,BNPおよびANPが低下するといった効果を認めている。この場合,ホルター心電図で心拍数の変化(強心薬による増加,β遮断薬による減少)と不整脈の出現に細心の注意を払わなくてはならない。強心薬の最大の問題点は心拍数増加,心筋酸素消費量増大と催不整脈性であり,これらの点に注意すれば両剤の併用は理にかなった組み合わせだと思われる。

    β遮断薬の周術期投与
    注目される心臓合併症予防効果

     周術期の心臓合併症は,大きな問題である。特に,危険因子を多く有する症例や狭心症や心筋梗塞,不整脈の既往がある症例で,侵襲の大きいmajor surgeryを行った場合,周術期に心筋虚血を起こす頻度は,欧米の報告によると20〜60%とされる。術中あるいは術後に心筋梗塞が起きる頻度は,虚血性心疾患の既往がある場合,20%に達するとの報告もある。しかも,術中術後に心筋虚血を起こした症例の長期予後をみると,起こさなかった例に比べ死亡率が 2〜3 倍高いという。周術期の心臓合併症防止の重要性は明白であろう(清野,日臨麻会誌,1997)。

    表1
     こうした点から周術期のβ遮断薬使用が考えられるが,従来,この問題に関しては異論があった。この点を明らかにしたのがManganoらの報告(N Engl J Med, 1996)で,β1選択性のアテノロールを術前〜術後に使うことで,術後720日の生存率改善が得られたと述べている。こうした結果から欧米では,術前の評価で高リスクと判断された例(表 1)には,β遮断薬を使用することが有用との認識が広まりつつある。近年,高リスク例には手術の約 3 週間前から経口β遮断薬を投与し,術中には血行動態をみて必要に応じてβ遮断薬を静注,術後はまた経口剤を使うという方法で,周術期の心臓合併症を予防できたという報告が多い。

     1999年のACCでは,ベタキソロールで術中の心筋虚血を抑制することができたというDeedwaniaらの報告が注目された。これは,大血管手術を受ける冠動脈疾患患者にベタキソロールを手術の10〜14日前から経口投与し,術中ホルター心電図を分析し,心筋虚血イベントへの影響を調べたものである。その結果,虚血イベントの総数や合計時間は術前のホルター心電図の分析に比べ,ベタキソロール投与中の周術期に有意に低下した。周術期には,挿管時や麻酔導入期,覚醒期に心拍数や血圧の急激な変動が生じ,そうしたときに心筋虚血が起きやすいが,ベタキソロール投与がこれを防止したとの報告である。周術期におけるβ遮断薬の適応は,わが国でも検討すべきテーマだと思われる。

     周術期の合併症予防のためのAHAガイドライン(1996)では,これまで狭心症,不整脈,高血圧症に対してβ遮断薬を使っていた例はClass I:「使うべき」,冠動脈疾患がある,あるいはその危険因子を複数もつ例はClass II:「議論はあるが,使用した方がいいのではないか」となっている。わが国では,このような検討はほとんどなされていないが,高齢化が著しい日本ではmajor surgeryの機会も多く,高リスク症例におけるβ遮断薬や硝酸薬の使用に関する検討を行っていくべきだと思われる。

    4 Microvascular angina および silent ischemia
    血管拡張性のβ遮断薬の有効性が示唆される

    表2
     Microvascular anginaあるいはSyndrome Xと呼ばれる病態の存在は,古くから知られていた。血管造影では冠動脈に有意狭窄やスパズムがみられないにもかかわらず,運動負荷をかけると狭心痛の出現とともに心電図上ST低下などの心筋虚血を示唆する異常が認められる病態である。この病態は冠微小循環における予備能の低下で特徴づけられており,血管内皮機能の障害,交感神経系の過剰亢進,心筋細胞レベルでの代謝障害,器質的微小血管異常,slow-flow現象などが発症に関連していると考えられる。その治療には,今まで経験的にCa拮抗薬や硝酸薬が使われてきたが,最近,β遮断薬が有効との報告が注目されている。また心筋虚血を,症候性のもののみならず無症候性のもの(silent ischemia)も含め,total ischemic burdenとして総合的に捉えて治療すべきとする考え方(TIBBS, 1995など)が一般的になってきている。

     ベタキソロールについては,高血圧があり,冠動脈造影では有意狭窄が認められないにもかかわらず,ホルター心電図で無症候性の虚血性ST低下が出現する症例において,その出現を減少させたとの報告がある(表 2)。このようにmicrovascular anginaに関しては,β遮断薬で交感神経系を抑える,またはACE阻害薬などで内皮機能を改善する治療戦略が有望と思われる。特にベタキソロールなどのb1 選択性で血管拡張作用のあるβ遮断薬は,coronary flow reserveの低下した病態により高い有用性を発揮する可能性があり,さらなる検討を期待したい。

     以上,種々の病態におけるβ遮断薬の適応ないし臨床的可能性について概観してきたが,改めてβ遮断薬に対する欧米と日本の評価のギャップを再認識せざるをえない。欧米で確立されたβ遮断薬のevidenceを,わが国の臨床家がどう評価し,適用していくのかが,今,実地医療の現場で問われていると考える。
    本ページは吉富製薬株式会社の提供です







    Inotropes in the Beta-Blocker Era

    Clin. Cardiol. Vol. 23 (Suppl. III), III-11?III-16 (2000)
    B. D. Lowes, M.D., M. A. Simon, M.D., T. O. Tsvetkova, M.D., M. R. Bristow, M.D., Ph.D.
    Division of Cardiology, University of Colorado Health Sciences Center, Denver, Colorado, USA

    Summary: Beta-adrenergic blocking agents are now standard treatment for mild to moderate chronic heart failure (CHF). However, although many subjects improve on beta blockade, others do not, and some may even deteriorate. Even when subjects improve on beta blockade, they may subsequently decompensate and need acute treatment with a positive inotropic agent. In the presence of full beta blockade, a beta agonist such as dobutamine may have to be administered at very high (>10 μg/kg/min) doses to increase cardiac out-put, and these doses may increase afterload. In contrast, phosphodiesterase inhibitors (PDEIs) such as milrinone or enoximone retain their full hemodynamic effects in the face of beta blockade. This is because the site of PDEI action is beyond the beta-adrenergic receptor, and because beta blockade reverses receptor pathway desensitization changes, which are detrimental to PDEI response. Moreover, when the combination of a PDEI and a beta-blocking agent is administered long term in CHF, their respective efficacies are additive and their adverse effects subtractive. The PDEI is administered first to increase the tolerability of beta-blocker initiation by counteracting the myocardial depressant effect of adrenergic withdrawal. With this combination, the signature effects of beta blockade (a substantial decrease in heart rate and an increase in left ventricular ejection fraction) are observed, the hemodynamic support conferred by the PDEI appears to be sustained, and clinical results are promising. However, large-scale placebo-controlled studies with PDEIs and beta blockers are needed to confirm these results.

    Key words: beta blockers, phosphodiesterase inhibitors, heart failure, milrinone, enoximone

    Introduction

    Beta-adrenergic blocking agents are standard treatment for patients with mild to moderate chronic heart failure (CHF).1, 2 The benefits of beta blockade include time-dependent improvements in myocardial function and remodeling, and a decrease in hospitalizations and mortality.1, 2 The U.S. Carvedilol Trials reported a composite 65% reduction in mortality and a reduction in cardiovascular hospitalizations.3 The Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study II (CIBIS-II)4 recently reported a 32% reduction in all-cause mortality when a beta blocker was added to standard therapy. The Metoprolol CR/XL Randomized Intervention Trial in Congestive Heart Failure (MERIT-HF) demonstrated a 34% reduction in all-cause mortality as well as significant improvements in cardiovascular mortality, sudden death, and worsening heart failure.5 These findings have led to the recommended use of beta blockers in patients with CHF with a primary or secondary dilated cardiomyopathy phenotype and New York Heart Association Class II or III symptoms.1, 2

    However, because of the degree to which the failing heart is dependent on adrenergic support,6 there is also the potential for adverse effects of antiadrenergic agents in the subset of patients with advanced or severe CHF. The Moxonidine in Congestive Heart Failure (MOXCON)7 trial was recently stopped early due to higher mortality in the active arm8 moxonidine is a centrally acting inhibitor of sympathetic outflow that reduces systemic and cardiac norepinephrine.9 In MOXCON, a marked reduction in cardiac adrenergic support to heart rate, contractility, and/or blood pressure may have been deleterious to patients with more advanced CHF leading to an early increase in mortality.10

    As with moxonidine, there is also potential for adverse effects of beta-blocking agents in subjects with more advanced heart failure. Some patients do not tolerate initiation and uptitration of beta blockade, others exhibit a decrease in left ventricular (LV) function, which has been associated with increased mortality,11 and some subjects who improve go on to decompensate. In these decompensated patients who develop a clinically significant low cardiac output state, inotropic support is often necessary to improve hemodynamics. Thus, for optimal therapeutic management of CHF it is important to understand the interaction between positive inotropes and beta blockers. This paper reviews the pharmacologic, hemodynamic, and clinical effects of beta blockers and positive inotropes acting within the beta-receptor pathways, and discusses how the interactions between these two classes of agents may be used to improve clinical outcomes of patients











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    ●2001●------------------------------------------------
    1097★17/03★01.02.05★009★β遮断薬の選択/2pβ遮断薬[41KB]
    ●2000●------------------------------------------------
    1078★16/10★00.05.15★041★心房細動治療薬ドフェチリド/2p|1078追加メモ[112KB]
    1081★16/13★00.06.26★054★心不全治療に対するβ遮断薬/2p|1081追加メモ[110KB]
    ●1999●------------------------------------------------
    1045★15/03★99.01.29★012★慢性心不全治療薬/2p1045追加メモ[252KB]
    1048★15/06★99.03.12★023★高血圧治療剤/6p1048追加メモ[236KB]
    1061★15/19★99.09.10★081★心不全に対するスピロノラクトン/2p;|1045追加メモ
    1065★15/23★99.11.05★105★高血圧治療薬としての新規ACE阻害剤および新規アンジオテンシン受容体遮断剤2剤/2p;|1065追加メモ:高血圧治療薬[追補][161KB]
    ●1998●------------------------------------------------
    ●1997●------------------------------------------------
    1010★13/20★97.09.26★089★心不全に対するカルベジロール
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    作成:2001.3.26 最終更新:2006.8.13 小菅博之
    The Medical Letter日本語版
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    On Drugs and Therapeutics

    このページは[The Medical Letter日本語版]の補足データとして添付しています。 [The Medical Letter]は新薬の厳正な評価誌であり、ここに収録される製品は新しくFDA承認された新薬に対する評価を中心としています。
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